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ハワイの珈琲一世はマノア育ち


6月 10, 2017

<真っ赤に熟した果実は丁寧に一粒一粒手摘みされ、コナに降り注ぐ太陽を存分に浴び日干しされ外側の殻と生豆を覆う薄い皮膜をはがした状態で袋詰めされいよいよ世界中のロースターへ出荷されていきます。Hawaii Coffee Companyに届いたばかりのコナコーヒーの生豆。>

遠い異国の地エチオピアの魅惑の飲み物が地球の裏側の太平洋に浮かぶハワイに辿りついたのは約200年前のこと。1813年にスペイン出身の冒険家フランシスコ・デ・パウラ・マーリンがカリフォルニアから取り寄せたコーヒーの種をカメハメハ大王が供与したオアフ島の土地に植えたのがハワイに降り立った初めての珈琲とされています。

当時のハワイ王朝に通訳、医師、銃器調達屋などとして雇われ、「万屋」的存在でカメハメハ王の腹心としてもハワイ社交界でその存在感をアピールした異色の外国人マーリン。たくさん肩書がある中「熱心な園芸家」としても知られており珈琲以外にもパイナップルやサンダルウッドなどもハワイに紹介しました。ちなみにダウンタウン地区の山側を通り抜ける「ビンヤード通り(Vineyard Boulevard)」はマーリンが植えたハワイで初めてのブドウの木からなるブドウ園があった場所にちなんで「ビンヤード通り(Vineyard Boulevard)」と名づけられたとか。ハワイの初ワインもここから造られました。

そんな数々の異国の植物をハワイで栽培することに成功してきたマーリンでしたが、珈琲に関しては残念ながらうまく育たず失敗に終わっています。

この初めての試みで珈琲の実はならなかったもののその後もヨーロッパを席巻している人気の飲み物「珈琲」のうわさは着実にハワイにも伝わり人々の興味を掻き立てます。次にハワイに珈琲が到来するのは1825年、カメハメハ2世の英国訪問に付き添ったオアフ島知事「ボキ(Boki)」がブラジルで買ってきた種と苗木です。

このカメハメハ2世とカママル王妃の英国訪問中、ハワイからの一行はまだ免疫力を有していない麻疹ウイルスにかかり王と王妃も含めその半分が命を落とす悲劇が起こります。親交の深いハワイ王国の貴賓が自国訪問中に亡くなったことを遺憾に思い英国政府はH.M.S. Blonde号を王と王妃の亡骸をハワイに移送するため手配します。また王立園芸協会よりハワイの高位のアリイ(王族)への贈り物としてハワイの気候に適した植物コレクションがまとめられ長い船旅の間の世話役として若いスコットランド出身の植物学者ジェームス・マクレー(James Macrae)が帰路に就く一行に加わります。

英国滞在中にコーヒーハウスを何軒もめぐりその魅力を自ら体験しまた珈琲の発育に適した温暖な気候を有するハワイでの栽培の可能性をしっかり確認したボキ、珈琲をハワイで栽培できるようその手の専門家もちゃんと手配して帰路につきます。ボキからの説得に負けBlonde号に乗り込んだのは西インド諸島で植物栽培や農耕経験のある農学者ジョン・ウィルキンソン(John Wilkinson)です。

珈琲栽培の下準備を整えつつ船に乗り込んだ一行、肝心の珈琲はというとハワイへ向かう航海の途中食料等の補給で停泊したブラジルのサンタ・カタリーナにて、ボキとマクレーがブラジルに育つ珍しい植物と一緒にその種と苗を仕入れてきます。

もともと王立園芸協会の寄贈した植物の管理のため派遣されたマクレーはハワイ到着後ブロンデ号の帰航とともにハワイを後にしますが仕入れてきた珈琲はボキのスカウトしてきたウィルキンソンにしっかり託されます。

そしてたっぷりと朝日が照り灌漑が引かれ豊かな雨に恵まれたマノア渓谷一帯に広がる農耕地区に与えられた土地でウィルキンソンはハワイで初のサトウキビ畑を耕すと共に、これまたハワイで初となる珈琲を育てることに成功します。

異国の土地で無事根を下した珈琲でしたが肝心のウィルキンソンは異国の慣れない生活環境に苦しみ病に伏してしまいます。そして約2年後の1827年、ハワイの太陽を全身に浴びたっぷりと渓谷に降り注ぐ雨に打たれすくすくと育った元気なハワイ初の珈琲の苗木を残したままウィルキンソンはハワイで帰らぬ人となります。

ハワイ育ちの珈琲としては初めてとなるウィルキンソンの珈琲。オアフ島マノア渓谷で母なるハワイの「水・光・気」を吸収しがっしり根を張った親木は根分けされ翌年にはハワイ島サウスコナ地域のナポオポオ(Napo'opo'o South Kona)地区に植えられます。その後もマノア育ちの珈琲の木の分身たちは次々とハワイの島々に根をはり、1836年にはカウアイ島で商業規模の珈琲栽培がスタートします。

サトウキビ産業の影に隠れがちではあったものの着実に発展したきたハワイの珈琲産業。その第一世はマノアをホームタウンとしてハワイアンを代表する作物に成長していきます。

当時ブラジルから辿り着いた珈琲の発育の様子を写した写真や細かい描写などを記した資料はないものの、芳しい真っ白な珈琲の花が枝一面を縁取る様子や真っ赤な果実の房が午後に過ぎ去る雨と太陽で宝石のように輝く情景は今もマノアに一歩足を踏み入れた途端容易に頭に思い描べることができます。

ひっそりと朝露が宿る草花がゆっくり目覚め澄んだ空気を吸い込み深く青みを増していくマノア渓谷が織りなす一日の風景がこれからも変わらないことを願って。


<左から、6か月目のコナコーヒーの苗木、収穫時期を迎え真っ赤に熟したコーヒーチェリー、焙煎工程に入る前のグリーンビーン。>



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